看護部本日モ反省ノ色ナシ

看護師を中心に医療界の変なエピソードを話していきます

私は看護師をしておりますが まあおよそ一般社会では通用しないことがまかり通る それが看護師の世界です そんな看護師のエピソードとともに 医療界(病院)の変なことも話していきたいと思います

型通りのことしかできない看護師/応用の利かない看護師・OKMT

これは、

救命救急センターに居た時の話です。

 

確か、

救命救急センターに異動になった年だったので、

看護師としては2年目の時でした。

 

そこに、

OKMTという看護師が居ました。

 

OKMTは、

救命救急センターの生え抜きで、

年は30代なかばだったと思います。

 

救命救急センターの生え抜きの中でも、

年長だったため、

他の生え抜き看護師からも、

一目置かれていました。

 

OKMTは、

私が救命救急センターに異動してきた当初は、

救急外来(初療)担当でしたが、

ローテーションで、

私の居る一般病棟に異動してきました。

 

初療と重症病棟の経験は豊富だったようですが、

一般病棟へのローテーションは、

初めてだったようです。

 

一緒に仕事をすると、

真面目というか、

堅い印象を受けました。

 

わからないこと、

知らないことに対して、

それを追求するのはいいのですが、

教科書通りでないと、

納得しないのです。

 

ただ、

例えがわかってもらえるかわかりませんが、

 

「バレエを踊っているように」

 

軽やかに、

仕事をこなしているように、

2年目の私の目には映りました。

 

それぐらい、

テキパキ仕事ができたらと、

思ったものです。

 

ある時、

私は準夜勤務でした。

 

その時に、

食道静脈瘤の患者が入院してきました。

食道静脈瘤|オリンパス おなかの健康ドットコム (onaka-kenko.com)

 

入院を受けたのは、

私でした。

 

本来なら、

上記資料に書かれている治療を施すところですが、

そこまでの緊急性がなく、

翌日昼間に行うことになったかで、

一晩は様子をみることになりました。

 

しかし、

何もしないわけにはいきません。

 

この患者には、

なぜかピトレシンという薬剤が、

持続投与されていました。

 

この薬剤が、

尿崩症に対する薬剤であることは、

知っていました。

尿崩症:どんな病気?脳の病気なの?検査は?治療は?完治できるの? – 株式会社プレシジョン (premedi.co.jp)

 

しかし、

この人の病気は、

食道静脈瘤です。

 

脳の疾患の、

既往もありません。

 

私は、

当直医のIHR医師に、

聞いてみました。

 

この医師は、

在職中なにかと私に目をかけてくださって、

幾度となく助けられたことがありました。

 

すると、

このような回答でした。

 

「(私の名前)くん、それは副作用を使ってるんや」

 

ピトレシン注射液20(効能・効果、副作用、添付文書 等) | 製品情報 | 第一三共「Medical Library」 (medicallibrary-dsc.info)

 

なるほど。

 

今は、

効能として書かれていますが、

当時には正式な効能ではなく、

副作用を利用した効果として、

書かれていました。

 

そして、

こう続けました。

 

「その質問をするぐらいやから、わかっていると思うけど、尿量に気を付けるように」

 

それで、

膀胱留置カテーテルが留置されていることも、

理解ができました。

 

元々、

尿崩症の薬であるから、

投与することによって、

尿量が減少する危険性があるのです。

 

その患者も、

急変することがなく、

準夜帯から深夜帯への、

申し送りの時間(翌0時)となりました。

 

深夜の看護師2人のうち1人は、

OKMTでした。

 

準夜→深夜の申し送りは、

それぞれの受け持ちが、

直接申し送るかたちでした。

 

そして、

私がその患者の申し送りをすると、

案の定こういうツッコミを入れてきました。

 

「ピトレシンはなんで使ってるの?この人脳の疾患なんかないのに」

 

これは、

想定内だったので、

IHR医師から聞いたとおりに説明しました。

 

いくら、

救命救急センター経験が長くても、

OKMT自身、

このようなピトレシンの使い方は、

初めてだったようで、

OKMTは、

私の説明に、

納得しませんでした。

 

そして、

薬の辞典を開き、

ピトレシンを調べ始めました。

 

そこにも、

もちろん、

ピトレシンの食道静脈瘤への応用が書かれていましたが、

今度はこんなことを言い始めました。

 

「辞典に書かれているのと、用法用量が違う。もう1回先生に聞いてみて」

 

は?

 

確かに、

説明書や辞書に書かれている用法用量と違うことは、

私も気付いていました。

 

しかし、

医師が電卓を叩いて、

考えに考え抜いた上での投与量であることは、

私はそばで見ていたので、

間違いないのです。

 

ですから、

OKMTの主張は、

もはや

 

「難癖」

 

以外の何ものでもないのです。

 

こうなったら、

OKMTも井上も一緒です。

 

この頃は、

まだ井上のことは知りませんが。

 

しかし、

当時まだ看護師2年目で純粋(笑)だった私は、

もう1度医局に電話をして、

IHR医師に確認しました。

 

しかし、

そのまま聞いたのでは、

説明してくださったIHR医師に失礼なので、

以下のように聞きました。

 

「私は、先生の説明で納得したのですけど、OKMTがどうしても納得してくれなくて、『もう一度先生に聞け』というから、もう一度聞きます。OKMTが、『説明書・辞典に載っている用法用量と違う』と言って譲らないのです」

 

すると、

IHR医師は、

 

「そう言われてもなあ。俺も、一生懸命考えてあの量にしたんやけど。わかった。俺が行って説明するわ」

 

と、

苦笑いでした。

 

そして、

IHR医師は、

わざわざ一般病棟まで来て、

OKMTに直接説明していました。

 

それでも、

OKMTは怪訝そうな顔をしていましたが、

医師の言うことなので、

渋々受け入れていました。

 

そして、

医局に帰り際、

IHR医師は私に、

 

「これで良かったか?」

 

と、

耳打ちして行きました。

 

きっとIHR医師は、

今までにもOKMTから、

同じようなことをされて、

辟易していたのだと思います。

 

たしか、

IHR医師は、

OKMTより年下だったと思います。

 

だから、

見下していたのだと思います。

 

しかし、

IHR医師は、

医師としても人間としても、

素晴らしい人でした。

 

前述のように、

私は助けていただいたことが、

結構ありました。

 

それは、

私が、

救命救急センターの古株から、

理不尽なことを言われたりされたりしているのを見て、

助けてくれていたのだと思います。

 

私は、

医師はみんな、

研修医であろうが院長であろうが、

医師としては尊敬しています。

 

しかし、

人間として尊敬できるかは、

また別の話です。

 

いずれにしても、

いくら年下でも、

医師に対しては、

尊敬の念を持って、

接するべきです。

 

仕事なのですから。

 

一番良いのは、

医師としても人間としても尊敬できる人であることですが、

そういう人はなかなか居ません。

 

IHR医師や、

前に話した循環器内科の部長、

私の循環器内科医師に対するイメージを良い意味で変えた/近畿中央病院・循環器内科 - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

医師の異例の行動/看護師の目に余る言動に苦言! - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

この時登場した医師 等、

番外編/凡人と天才の差 - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

数えるほどしか居ません。

 

何も、

 

「お医者様」

 

と崇めると言っているのではありません。

 

そんなのは、

看護部長あたりに任せておけばいいのです。

 

医師だって、

時には間違いを犯します。

 

時々ニュースに出てきますが、

点滴投与量の間違いとか。

 

それは、

もし看護師が気付いたのなら、

指摘して構わないと思います。

 

看護師が指摘することで、

ミスが防げるのなら、

それに越したことはないのです。

 

OKMTは、

たぶんこの考えで、

指摘したつもりだったのでしょう。

 

しかし、

この投与量は、

IHR医師が、

考え抜いて決めた投与量です。

 

たしか、

説明書にある用法用量より、

少ない投与量だったはずです。

 

それは、

標準量を投与してしまうと、

尿量が減ってしまう懸念があったために、

極力投与量を少なくして、

かつ食道静脈瘤に効果がある、

ギリギリの量に設定したのです。

 

つまり、

濃すぎてしてきするのなら、

まだ話はわかるのですが、

薄くして指摘するというのは、

お門違いもいいところです。

 

部署に、

絶対1人は居る、

この型通りにしかできない看護師。

 

それも大事ですが、

応用を利かせることも、

看護師には大切なのではないでしょうか。

 

なぜなら、

相手にする患者は、

10人居れば10人、

100人居れば100人、

みんな違う個性を持っているのですから。

 

そのみんなを、

教科書通りに当てはめることなど、

絶対にできません。

 

間違いを指摘するのであれば、

私のような下っ端を介するのではなく、

自分で直接言うべきです。

 

きっと、

自分でも、

自信がなかったのでしょう。

 

それを、

若手に押し付けるとは、

もってのほかです。

 

この件で、

私のOKMTに対する評価は、

ダダ下がりとなりました。