たまには良い話を。
今までの私の投稿で、
良いイメージのない近畿中央病院ですが、
医師は優秀な方が多く(全員とは言っていません)、
その分一部のクソみたいな看護師のせいで、
損をしていると思います。
今回お話するのは、
循環器内科についてです。
最初に勤めていた病院の、
救命救急センターに在籍していた時、
私は週1回ほどのペースで、
昼間血管造影室に応援に行っていました。
これは、
夜勤のない放射線科の看護師が、
救命救急センターの救急外来で夜勤(1名は救命の看護師・1名が放射線科の看護師)をする代わりに、
平日の昼間に救命救急センターの看護師が、
内視鏡室と血管造影室に手伝いに行くというものでした。
血管造影室は、
病院の規模が大きかったこともあって3部屋あり、
頭部・胸部(心臓カテーテル)・腹部に分かれていました。
このうち胸部は、
看護師2人で検査につくので、
応援の場合はそこにつくことが多かったのです。
循環器の患者は、
救急外来から直接ICUやCCU・HCUに行くことがほとんどだったので、
救命救急センターの病棟で循環器系の医師とかかわることは、
ほとんどありませんでした。
しかし、
心臓カテーテル検査につくことで、
かかわることになったのです。
循環器内科の医師は、
他の内科の先生と比べて、
プライドの高い人が多いみたいです。
なぜなら、
「心臓を扱う」内科だからだそうです。
つまり、
自分たちは他の内科系の科とは、
格が違うというのです。
私にすれば、
例え何科であろうと、
人間的に素晴らしくて、
腕がたしかなら尊敬できますが。
循環器内科の医師とかかわってみて感じたのは、
やはりプライドが高くて、
頭が良いのはわかるのですけど、
イザという時にテンパるということです。
心臓カテーテル検査のひとつに、
アセチルコリン負荷テストというのがあります。
これは、
一時的に体外ペースメーカーを装着した状態で、
アセチルコリン(商品名:オビソート)を負荷するというものです。
詳しくは、
こちらをご参照ください。
東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 循環器内科|区民の皆様・患者様へ|虚血性心疾患|アセチルコリン負荷試験 (jkmc-cardiology.jp)
これをする時、
万が一の事態に備えて、
いつもは術者(2人)以外にも多数の医師が居るのですが、
この日は1人でした。
そして、
アセチルコリンを負荷したら、
心臓が止まってしまいました。
その瞬間、
術者の2人は清潔である両手を胸の前で上向き(手術でよくあるシーン)にして、
「心マ」と叫びオロオロしだしたのです。
は?
患者の一番近くに居るのは、
術者2人です。
しかも、
患者には清潔な布がかぶっており、
清潔な手の術者が心臓マッサージすることに、
何の問題もありません。
私か、
私のペアだった放射線科の看護師が、
「先生がやってください」というと、
2人とも我に返って心臓マッサージを始めたのです。
こうなった原因は、
外回りの医師が、
体外ペースメーカーの心拍設定を、
「0」にしたままその場を離れてしまったことです。
その状態で、
アセチルコリンを負荷したら、
心臓が止まるのは当然です。
戻ってきた外回りの医師が、
それに気付いて心拍設定を「60」にして、
事なきを得ました。
この出来事以降、
普段はプライドの高い循環器内科の医師が、
急変が起こるとテンパってしまう姿を何度も見て、
これが循環器内科医師の気質なのかと、
私の頭の中にインプットされました。
その後、
巡り巡って近畿中央病院に来ましたが、
その時居た部長であるM医師ならびにT医師も、
「心マ」と同様のエピソードがあり、
「やっぱり循環器の医師はどこも同じ」と感じたものでした。
ただし、
この時はアセチルコリン負荷テスト中ではなく、
本当に心停止したので大変でしたが・・・。
そして、
衰退していた循環器内科を充実させるという方針のもと、
M医師T医師を更迭して代わりに招聘されたのが、
現在の部長なのです。
名前は、
ここでは伏せさせていただきますが、
近畿中央病院のHPを見ればわかります。
この部長、
人柄も穏やかで心臓カテーテルの腕も秀逸。
なにより、
急変があっても落ち着いています。
それは、
その後に近畿中央病院に着任した循環器内科の医師「ほぼ」全員に言えることで、
今現在のスタッフは、
全員人間的にも医師としての能力も素晴らしいと思っています。
一時期、
近畿中央病院では、
部長以下の心臓カテーテルの腕をもって、
循環器内科が病院の収益の中心をなしていましたが、
尼崎医療センターの開業に伴い、
心臓カテーテルの件数が減り、
今に至っています。
非常に、
もったいない話です。
とにもかくにも、
今の近畿中央病院循環器内科の部長は、
私の持つ循環器内科医師のイメージを、
良い方向に180度転換してくれた人物です。