看護部本日モ反省ノ色ナシ

看護師を中心に医療界の変なエピソードを話していきます

私は看護師をしておりますが まあおよそ一般社会では通用しないことがまかり通る それが看護師の世界です そんな看護師のエピソードとともに 医療界(病院)の変なことも話していきたいと思います

それはいいのか?/返り討ちにあうM上T子

久々に、

この人の話題を。

 

近畿中央病院は、

がん拠点病院なので、

そのための治療が行われています。

 

治療の1つに、

化学療法というものがあります。

 

これは、

点滴もしくは内服によって、

抗がん剤を投与するものです。

 

私も、

これに携わっていました。

 

抗がん剤の投与は、

 

「レジメン」

 

と呼ばれる治療計画に従って行われます。

抗がん剤治療レジメン | 看護師の用語辞典 | 看護roo![カンゴルー] (kango-roo.com)

がん化学療法レジメン - 君津中央病院公式サイト (hospital.kisarazu.chiba.jp)

 

ある日、

私は、

とある男性の患者Kさんの受け持ちでした。

 

Kさんは、

理解力にはまったく問題がなく、

人間性も穏やかで良い人でした。

 

この日から、

抗がん剤投与が行われることになっており、

私は、

朝主治医から投与可の指示が出たのを確認してから、

準備を始めました。

 

点滴の準備は、

抗がん剤に限らず、

処方箋を見て、

確認しながら行います。

 

その時、

いつもと違うことに気付きました。

 

抗がん剤投与は、

たいていの場合、

抗がん以外の薬剤(生理食塩水または副作用止めの薬剤)で、

末梢静脈ルートを確保します。

 

その後、

副作用止めの薬剤を投与し、

そのあとで、

抗がん剤を投与します。

 

抗がん剤は、

レジメンによって、

1剤の時もあれば、

2剤を連続で投与するなど、

いろいろな投与方法があります。

 

しかし、

その時の、

処方箋は違いました。

 

最初に、

種類は忘れましたが、

最初の500mlの輸液のみが

 

「主管」

 

となっていて、

その他(副作用止め・抗がん剤)はすべて、

 

「側管」

 

となっていたのです。

 

「主管」とは、

24時間持続点滴で言えば、

文字通りメインになる点滴のことです。

 

「側管」は、

主管につながっているルートの横から、

ポートや三方活栓を介して、

つないで投与することを言います。

 

私は、

 

「500mlの点滴で末梢点滴ルートを確保して、それを最後まで流している間に、側管から副作用止めと抗がん剤を、順番に投与する」

 

と理解しました。

 

しかし、

この業界は、

 

「思い込み」

「知ったかぶり」

 

で仕事をすることは、

絶対にしてはならないのです。

 

特に、

今までしたことがないことについては。

 

私は、

薬剤師に確認しました。

 

すると、

やはり私が考えた通りでした。

 

私は、

準備を続けました。

 

抗がん剤投与の際の、

末梢静脈ルートの確保は、

原則的に医師によって行われます。

 

しかし、

近畿中央病院では、

院内資格を設けて、

資格を持った看護師であれば、

末梢静脈ルートの確保が可能となっていました。

 

看護師のスキルアップのためという、

表向きの理由でしたが、

実のところは、

医師の負担軽減のためです。

 

医師の仕事は減らしてもらえるのに、

看護師の仕事は増える一方です。

 

私も、

この院内資格を持っていました。

 

ただ、

この時の患者Kさんは、

末梢静脈ルートの確保が困難であったことと、

抗がん剤投与のため、

頻回にルートの確保をする必要があり、

鎖骨下に静脈ポートを造設していました。

※参考資料:IVR_PR200903port.pdf (jsir.or.jp)

 

静脈ポートの穿刺も、

基本的には医師の仕事です。

 

しかしこちらも、

院内資格が存在し、

私はこちらも取得していましたから、

問題はありませんでした。

 

この日は、

私の素晴らしい穿刺の腕(?)によって、

無事静脈ポートへの穿刺もでき、

1日目の抗がん剤投与が終わりました。

 

そして翌日。

 

私は、

その日も日勤でしたが、

Kさんの担当は、

M上T子についていました。

 

そのM上T子、

私にいろいろ難癖をつける割には、

都合のいい時だけ、

私に頼みごとをしてくるので、

この日もきっと、

Kさんの静脈ポートの穿刺を頼んでくるだろうと、

予想していました。

 

しかし!

 

もっとスゴイことを、

言ってきました。

 

「(私の名前)さん、昨日Kさんの抗がん剤どうやっていったん?Kさんが、いつもと違うやりかたやったって言ってるで」

 

ちなみに、

 

「いったん?」

 

とは、

関西弁で、

 

「~したのか?」

 

という意味で、

この場合は、

 

「投与したのか?」

 

という意味になります。

 

は?

 

この、

抗がん剤の投与方法は、

M上T子も初めてだったはずです。

 

それなら、

私にではなくて、

薬剤師に聞くのが筋だと思います。

 

百歩譲って、

前日受け持ちだった私に、

真っ先に聞くのならわかりますが、

患者に聞いて、

それを鵜呑みにするというのは、

いかがなものかと思います。

 

Kさんは、

割合しっかりしているほうですが、

時々おとぼけな発言もします。

 

しかも、

Kさんにとっても、

この方法での抗がん剤投与は、

今回が初めてだったのです。

 

いずれにしても、

患者に聞くというのは、

一番してはならないことだと思います。

 

私は、

前日薬剤師から聞いていて、

自分が行った投与方法に自信がありましたが、

中には、

1日目と2日目で、

投与する薬剤が違ったり、

投与方法が違ったりするから、

処方箋を確認しました。

 

すると、

前日と同じ薬剤・同じ投与方法でしたから、

自信を持ってM上T子に反論しました。

 

私の反論を聞いて、

M上T子は慌てて、

抗がん剤で満たしたルートの、

抗がん剤を点滴ボトル内に戻したり、

 

「証拠隠滅」

 

を図り出しました。

 

それはいいのか?

 

抗がん剤は、

高価な薬品であり、

準備方法を間違ってしまうと、

破棄しなければならなくなります。

 

看護師のミスで、

再度つくるとなると、

病院の全額負担となります。

 

私の、

 

「点滴下げ忘れ」

 

とは、

ケタが違う損失です。

人を見る目のあるやつはどこに居るんだ!・近畿中央病院/病棟師長HYSDの場合① - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

人を見る目のあるやつはどこに居るんだ!・近畿中央病院/病棟師長HYSDの場合② - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

 

また、

抗がん剤の作成(ミキシング)は、

薬剤師が行うことになっています。

 

看護師のミスで、

薬剤師に、

余計な手間をかけることになるのです。

 

それ以前に、

一度ルートに通した薬剤、

しかも抗がん剤を、

ボトルに戻すという行為の是非です。

 

私を陥れて、

インシデントレポートや事故報告書を書かせようとして、

返り討ちにあったM上T子ですが、

おそらくレポート・報告書は、

書いていないと思います。

 

このことで、

バツが悪くなったのか、

静脈ポートへの穿刺も、

私ではなくて、

別の看護師に頼んでいました。

 

前述のように、

医療の世界において、

 

「思い込み」

「知ったかぶり」

 

は、

絶対にやめましょう。

 

しかし、

その看護師を束ねている、

看護部のお偉いさんたちが、

それを普通にやっているのですから、

まずは上の意識改革が必要でしょう。

 

上司ができていないことを、

部下ができるわけないのですから。

 

部下は、

上司の背中を見て育つのです。

 

良い意味でも、

悪い意味でも。