看護部本日モ反省ノ色ナシ

看護師を中心に医療界の変なエピソードを話していきます

私は看護師をしておりますが まあおよそ一般社会では通用しないことがまかり通る それが看護師の世界です そんな看護師のエピソードとともに 医療界(病院)の変なことも話していきたいと思います

番外編・アルバイト先の倒産

労働基準監督署には、

あまり行きたくないものです。

 

極力、

人生で一度も行きたくはない、

いや、

普通は行かないものです。

 

実は、

行くべき案件でも、

みんな敷居を高く感じていて、

行かないだけかもしれません。

 

私は、

人生で3回、

言ったことがあります。

 

初めては、

今からお話しすること。

 

2回目は、

後日話す、

労災に関連したこと。

 

3回目は、

以前にお話しした、

有給休暇・年次休暇に関する時でした。

法律を知らない看護部長・事務方/知っててやってたらなおさら罪深い - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

 

それでは本題。

 

大学生の頃、

私はとあるディスカウントショップで、

アルバイトをしていました。

 

大学生になってから、

2ヶ所目のところでした。

 

そこには、

オープン時から働いていたのですが、

後で考えれば、

おかしいことがたくさんありました。

 

例えば立地。

 

比較的大きめの道路には面していましたが、

幹線道路ではなく、

交通量も、

決して多いといえませんでした。

 

そして、

近くには、

すでに大きな同業者があったのに、

あとから、

その店よりも小規模な店舗を、

出店したのです。

 

店長は、

「うちは口コミで客を集める」と言い、

宣伝は、

新聞広告のみでした。

 

店長から、

「近所の人に宣伝してくれ」とも言われましたが、

私の住んでいたところは、

その店から離れていて、

しかも学生街なので、

友達に宣伝したところで、

とても来てくれるとは思えませんでした。

 

開店時は、

大盛況で、

本店から多数の応援も来ていました。

 

しかし、

開店セールも終わると、

急激に客足が減りました。

 

アルバイト帰りに、

近くのライバル店の前を通るのですが、

そこはいつも盛況で、

一度中に入ってみたのですが、

品ぞろえも豊富でした。

 

店長も、

地元の有名企業から引き抜かれてきたという割には、

店の運営は素人のようで、

ゲーム機のコーナーで、

高校生のアルバイトが、

ゲームをしていても、

注意しませんでした。

 

あとで聞いた話ですが、

本当は、

別の人が店長に決まっていたのに、

開店前日に、

「お前やれ」と言われ、

急遽店長をすることになったそうです。

 

開店から、

どれぐらい経ったか忘れましたが、

5月か6月だったと思います。

 

店長が、

「店を改装することになったから、売りつくしセールをする」と言いました。

 

それでも、

さして客足は伸びませんでした。

 

不可解だったのが、

店を改装するために、

売りつくしセールをするのであれば、

商品の補充は必要ないはずですが、

とある業者が、

商品の補充にやってきました。

 

確かに、

「閉店売りつくし」と銘打って、

客を呼ぶためにいつまでもセールを続けて、

延々閉店しないという手法が、

あるにはあります。

 

しかし、

商品がなくなったものもあるのに、

まだたくさんあるものを補充するというのは、

不可解な話です。

 

私は、

その業者に事情を話しましたが、

初耳の様子でした。

 

そして、

「じゃあ補充はしなくていですね」というので、

アルバイトではありますが、

普通に考えてその必要はないので、

補充を断りました。

 

業者に、

連絡が行っていないことを、

学生ながら不可解に感じました。

 

その後店長から、

 

「ここから撤退することになった」

 

という話がありました。

 

このディスカウントショップは、

その都道府県下に、

本店と他に支店が4つありましたが、

一番最後に出店して、

一番最初に潰れたことになります。

 

で、

売れる商品がほとんどなくなった時点で、

閉店し、

今度は撤退作業を行いました。

 

陳列棚をバラシて、

ワンボックスカーに積み、

30分ほどのところにある、

本店近くの倉庫や、

他の支店に運びました。

 

この頃になると、

昼食は店長と社員の車2台に分乗して、

近くの店に行って、

店長がお金を出して昼食を食べていましたが、

あとで考えれば、

それも怪しかったのです。

 

それで、

あるよく晴れた快晴の朝、

朝からの出勤だったので、

多分土日祝日だったと思いますが、

出勤すると、

入口のドアに貼り紙がしてあり、

倒産した旨が書かれてありました。

 

続々、

アルバイトやパートの人が出勤してきましたが、

みんな途方に暮れてしまいました。

 

みんな、

せっかく稼いだお金が、

入らないからです。

 

しかたないので、

みんなで近くの中華料理屋でランチを食べて、

解散しました。

 

その時みんなで話し、

「改装する」と店長が言った時点で、

実はもう潰れることをわかっていたのだろうという、

結論に達しました。

 

それから、

どれぐらい経ったか、

封書が届きました。

 

ディスカウントショップの、

本店のあった地域を管轄する、

労働基準監督署からでした。

 

そこには、

社長を訴えるために、

従業員からの訴えが必要なこと、

そして給料の8割を、

労働基準監督署が立て替えて払ってくれる旨が、

書かれていました。

 

私は、

時間を見つけて、

労働基準監督署へ行きました。

 

そして、

書類上の手続きを経て、

無事給料が振り込まれました。

 

本当は、

もっと働いていたのですが、

いくら店長が許可したからとはいっても、

法律で定める以上の日数・時間働いていたのは、

自分の意志でした。

 

ですから、

正しく申請したら、

こちらが怒られそうだったので、

少なく申請しました。

 

貰えないと思っていた給料が、

8がけとはいえ入るのですから、

ありがたい話です。

 

労働基準監督署の話によると、

負債総額はなんと17億円。

 

びくりしました。

 

今から30年近く前の話です。

 

それに、

そんな大きなところではなかったからです。

 

これも、

後々パートの人から聞いたのですが、

ここの社長、

人は良いのですが、

その分人にすぐだまされるのと、

商才がないのが玉に瑕だったそうです。

 

一例を。

 

どこかの金持ちが、

テレビとビデオデッキを、

施設に寄付する話があって、

社長はその話に乗って、

各20台あまり準備したそうです。

 

しかし、

代金が支払われることはなく、

商品を持ち逃げされたとのこと。

 

こんなことが、

しょっちゅうあったそうです。

 

次の例。

 

他店で、

服が900円で売られていたそうです。

 

それを、

社長が見つけて、

私が働いていた店の店長に、

こう言ったそうです。

 

「(店長の名前)君、これ仕入れて、うちで1000円で売ろう」

 

しかし、

その商品は、

すでにそこで仕入れていて、

800円で売っていたそうです。

 

もう1つ。

 

店舗の場所。

 

店長が、

社長に連れられて、

店が出来る前に、

下見をしたそうです。

 

その時店長は、

前述のように、

立地が悪かったため、

「別のところにしたほうが」と、

意見を述べたそうです。

 

しかし、

この時社長は、

すでに賃貸契約を、

独断で結んでいたとのこと。

 

これが、

商才の無さをあらわしている、

エピソードです。

 

これも、

会社を経営する者としては致命的ですが、

社長云々よりも、

もっと基本的にダメなところがありました。

 

元々、

店長をする予定だった部長は良いひとで、

社長も店長も、

ほとんどの店員の人は、

挨拶をしたら返してくれるのですが、

ただ一人、

次長だけが、

一切挨拶をしない人でした。

 

常々話していますが、

挨拶は、

日常生活を送る上で基本となることで、

これができない人は、

人間としてダメなのです。

あいさつをしない女・片山 Vol.2 - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

 

以上に話したように、

この会社は、

潰れるべくして潰れたと言えます。

 

あとあと振り返れば、

怪しいところだらけだったのに、

それを見抜けなかったことは、

悔やまれます。

 

しかし、

人生経験としては、

いい勉強ができました。

 

これが、

人やモノの良し悪しを見抜く力を、

養うきっかけになったと思います。

 

それが今の、

人を見る目があることに、

つながっています。

 

30年近くも経つので、

もう社長や店長に恨みはありませんが、

その後しあわせな人生を歩んだことを、

願うばかりです。