近畿中央病院は、
「阪大系」を謳っています。
実際、
阪大の大学人事によって、
医師の配置が決まっています。
ただ、
この病院の特徴として、
「半官半民」といわれている割には、
大学人事に関係ない、
直接雇用の医師も居ることが挙げられます。
放射線科医師も、
多分に漏れず、
阪大系であり、
人事は阪大が握っています。
ここで、
医療界にあまり詳しくない方々のために、
解説します。
放射線科医師とは、
レントゲンやCTを撮影する人ではありません。
それは、
放射線技師です。
放射線科の医師は、
現在では、
放射線診断科と、
放射線治療科に分かれて、
所属しています。
放射線診断科は、
その名の通り、
レントゲン・CT・MRI等に、
所見(診断)をつけるのが仕事です。
放射線治療科は、
放射線照射による治療(リニアック)と、
血管造影(アンギオ)による、
肝細胞性肝臓がんの治療(TACE=冠動脈化学塞栓療法)、
この2つに分かれます。
なお、
参考までに、
心臓の血管造影は循環器内科医師、
脳の血管造影は脳血管外科医師が、
それぞれ行います。
私が、
外来検査部門に所属していた頃は、
まだ診断科と治療科にわかれていませんでした。
「診断科」には、
常勤医2名(部長と医員)、
他にアルバイトが多数在籍していました。
「診断科」については、
その当時はすべて非常勤だったと思います。
その後、
放射線治療に関しては、
常勤医が着任しました。
アルバイト・非常勤は、
すべて阪大からの派遣でした。
今回話したいのは、
「診断科」の話です。
数年前、
放射線診断科の部長が退職することになりました。
その際、
阪大から、
アルバイト・非常勤を、
すべて引きあげることが通告されました。
それで、
診断科においては、
常勤医が1名ということになりました。
ここで、
不可解なことがあります。
この、
常勤医1名も、
阪大の医局所属のはずなのですが、
引きあげる対象にはなりませんでした。
この医師、
いろいろと問題があるので、
体よく押し付けられたと考えたら、
辻褄は合います。
無能な看護部長、
前田正美を押し付けられたのと、
同じ構図です。
その医師が、
「無能」と言っているのではありません。
しかし、
何かしらの事情があるのは、
確かだと思います。
そうでなければ、
この医師も、
引きあげの対象となって、
然るべきです。
このことで、
大問題が起きました。
ある日、
こんな通達がなされました。
「放射線医師の退職により、所見が付けられなくなったので、医師が確保できるまでは、読影(画像から所見を読み取ること)は主治医にてお願いします」
は?
確かに、
主治医でも読影はできます。
専門家ですから。
しかし、
主治医でも見落とすような、
細かい読影をして、
所見を付けるのが、
放射線診断科医師の仕事です。
それができないとなったら、
もはや存在意義がないのではのいでしょうか。
私が懇意にしている医師も、
「そりゃ、読め(読影しろ)って言われたらするけど、自分たちで読み切られへん所見を読んでほしいのに、これでは負担が増える」
と、
嘆いていました。
こんな話があります。
前述の、
唯一残った医師の専門は、
頭部の画像診断です。
その医師が見落とした、
脳腫瘍の所見を、
当時阪大大学院に在籍していた、
アルバイト医師がみつけた(所見をつけた)ということがありました。
画像の読影は、
放射線科医師2名が、
それぞれ別々に行って、
所見を付けます。
1次読影を、
常勤医が行ったのですが、
そこで見落とされた脳腫瘍を、
2次読影のアルバイト医師が、
見つけて所見を付けたのです。
アルバイトの医師が、
優秀であることは知っていましたが、
頭部画像診断の専門家ではありません。
確か、
胸部か腹部だったと思います。
頭部の専門家が見落として、
専門家じゃない者が見つける。
大問題ではないでしょうか。
その後、
私大系医学部から、
アルバイト医師を確保したのでしょうが、
そもそも、
「系列病院」の医師を引きあげるとは、
近畿中央病院は、
一体何をしでかしたのでしょうか。
思い当たる節は、
いくつかあるのですが、
確証がないので、
ここでは伏せておきます。
しかし、
何もなければ、
そうはならないのです。
唯一残った常勤医師は、
一体何をして1日過ごしているのでしょうか?
私が、
外来検査部門に在籍した頃は、
造影CT・造影MRIの、
造影剤を注入する静脈ルートを確保する針刺しは、
医師によって行われていました。
造影CTに限っていえば、
今は看護師が、
針刺しを行っています。
「IVナース」という、
院内資格に基づくのですが、
本来医師が行う仕事を、
体よく看護師に押し付けたことだと、
私は思っています。
当時は、
常勤医2名がそれぞれ1日ずつ、
あとの3日を、
それぞれ別のアルバイト医師が、
針刺しを行っていました。
アルバイト医師は、
定期的にローテーションしていましたが、
アルバイトのほうが、
常勤医2名に比べて、
針刺しが格段に上手でした。
MRIについては、
医師が行っているのか、
看護師がしているのかはわかりませんが、
いずれにしても、
造影CTの分は、
時間が空くはずです。
その空いた分、
読影に勤しんでいるかといえば、
そうではなさそうです。
とにかく、
この一件で、
画像診断の精度が落ちたことは確実で、
それはすなわち、
患者に悪影響が出たということです。
今は、
改善されたのかもしれませんが、
一時的にでも、
そういう状況にあったことは、
大問題だと思います。
もし、
その状況下で、
見落としがあれば、
患者は大きな不利益を被ったということになります。
医療機関として、
あってはならないことです。
医師のことは、
私たちにはわからない、
複雑な事情があるので、
私の言ったことが、
100%正しいかはわかりませんが、
知ってる範囲のことで、
話してみました。
こう考えると、
病院の規模だけみて信用するのは、
危険な気がします。
表向きの顔だけじゃなく、
深いところまで見極めて、
かかる病院を決めるべきでしょう。
難しいことだとは思いますが。
まさか、
画像診断が行えない病院が、
あるとは思いませんから。