看護部本日モ反省ノ色ナシ

看護師を中心に医療界の変なエピソードを話していきます

私は看護師をしておりますが まあおよそ一般社会では通用しないことがまかり通る それが看護師の世界です そんな看護師のエピソードとともに 医療界(病院)の変なことも話していきたいと思います

今ならアウト・・・いや、当時でもアウトです/業務上横領主任・TSの場合

これは、

救命救急センターに在籍していた頃の話です。

 

主任のTSのご主人は、

脳梗塞で入院をしました。

その後、

自宅療養をしていたのですが、

そのご主人のために、

救命救急センターにある輸液を、

多量に持って帰っていたのです。

 

普通、

輸液・注射薬の類は、

患者個人用にオーダーされたものが薬剤部から届き、

それを指示されたとおりに順番に使うものです。

しかし、

救命救急センターにおいては、

その特殊性から、

ストックされている輸液・注射液があり、

指示に基づいてそこから使用することになっていました。

 

救急重症病棟においては、

指示簿自体が複写になっており、

それでコストが落ちるようになっていました。

 

救急一般病棟においては、

オーダーリングシステムへの入力で、

コストが落ちていたと記憶しています。

 

ということで、

救急一般病棟には、

箱単位で輸液(ソリタT3・ソリューゲンF 等)が置いてありました。

なくなれば、

オーダーリングと関係なく、

物品カードを提出すれば、

1箱単位で届くシステムでした。

 

TSは、

このシステムの盲点(でもないですけど)を突いて、

タダで輸液を多量に持ち帰っていたのです。

 

TSがズル賢いところは、

帰りにタクシーが使える準夜勤務終わりに、

紙袋にソリタT3・輸液セット・留置針を、

多量に持ち帰っていました。

点滴は、

500mlを10本以上だったと思います。

 

この病院では、

看護師は当時3交代勤務で、

準夜勤務終わりにはタクシーチケットを使って帰宅できました。

重い「荷物」を、

労せず職場の金を使って運んでいたわけです。

 

しかも、

準夜終わりに持ち帰ることで、

職場の上司(この時の看護師長はあの「上司の鏡」でした)にバレることもありません。

 

時々、

日勤終わりにも持って帰っていましたが、

土日祝日の病棟師長の居ない時を選んでいました。

 

途中で開き直ったのか、

平日の日勤終わりにも持って帰るようになりましたが・・・。

 

これは、

明らかに「業務上横領」です。

発覚したら、

懲戒処分(おそらく懲戒解雇でしょう)は免れません。

しかし、

そうなることはありませんでした。

 

しかも彼女は、

その後系列病院の看護部幹部(看護部長・副看護部長)にまでなっているのです。

 

今なら、

誰かが必ず上司(病棟師長)に報告し、

TSは処分されていると思います。

 

いくら、

病気の家族のためとはいえ、

ダメなものはダメなのです。

これは、

規則違反の範囲を超えて、

立派な犯罪行為です。

 

なぜ、

当時私が告発をしなかったか。

それは、

まだ2~3年目ぐらいで、

当時の風潮として先輩に反抗できなかったからです。

今まで、

何度となく話してきたように、

先輩が「黒」と言えば白いものも黒になっていた時代です。

そんな時に、

告発などできるはずがありません。

 

もちろん、

当時私はおかしいと思っていましたよ。

告発したいけどできない、

そうもどかしく思ったものです。

 

例えば、

この主任が「上司の鏡」ぐらい良い人なら、

目をつぶってもよかったのかもしれませんが、

あいにくそういう人物ではありませんでした。

 

いやいや、

人柄で決めてはいけません。

さっきも言ったとおり、

ダメなものはダメ。

例え普段良い人・仲の良い人であったとしても、

その人のことを思えばこそ、

犯罪行為を咎めるべきです。

 

これは、

看護の古き「悪しき」時代の、

あってはならない出来事だったと思います。