昨今、
医療現場をテーマにしたテレビドラマが、
多数放送されています。
大半は、
現実離れし過ぎていて、
辟易してしまう内容です。
ですから、
それらのほとんどを、
観たことがありません。
米倉涼子主演の、
「ドクターⅩ」
は、
現実離れしているものの、
放送開始当初は、
観ていました。
しかし、
シリーズを重ねる毎に、
さらに現実離れしていき、
「やり過ぎ」
となったので、
観なくなりました。
一番笑ったのは、
石原さとみ主演の、
「アンサング・シンデレラ」
という、
病院薬剤師のドラマです。
このドラマの、
キャッチフレーズというのか、
決め台詞というのか、
定かではありませんが、
それが、
「薬剤師は、患者さんを守る最後の砦」
というもの。
滑稽以外の、
何ものでもありません。
もちろん、
薬剤師の仕事には、
敬意を表します。
しかし、
一緒に仕事をしていて、
「これで、本当に6年も大学に行っているのか」
と思うようなことも、
多々ありました。
しかも、
「最後の砦」
の割には、
いざとなったら、
すぐ看護師に仕事を振ってきます。
しかも、
我々看護師が、
薬剤師のミスに気付き、
インシデントを未然に防いだことも、
多々ありました。
これで、
「最後の砦」
とは、
笑いしか出ません。
まあ、
これはドラマ上の話で、
本物の薬剤師は、
そのようには思っていないでしょうが。
大半の薬剤師は、
薬剤師は、
優秀だとは思います。
私の、
高校3年の時の同級生にも、
薬剤師は多数居ますが、
みんな優秀です。
しかし、
「最後の砦」
は言い過ぎです。
どちらかといえば、
地味な仕事を、
コツコツと確実に、
そして正確にこなす、
「縁の下の力持ち」
だと思います。
スポットを当てて、
薬剤師の仕事を、
一般に知らしめるのは、
良いことだと思います。
それが目的なら、
余計な脚色をすることなく、
正確な描写をするべきです。
しかし、
そうしたら、
ドラマとして成立しなくなるでしょう。
こんなことを言ったら、
「セクハラ」
と言われるかもしれませんが、
このドラマにおいて、
正確に描写されているのは、
女性の薬剤師が、
美人ということです。
私の知る、
女性の薬剤師は、
美人な人ばかりです。
美人で知的、
最高じゃないですか。
この件は、
これぐらいにして、
入院してくる患者も、
「テレビの見過ぎ」
の人が、
かなり増えてきました。
表題のように、
「この病院には名医は居ますか?」
と聞いてくる人が居ます。
以前働いていた病院では、
まったくと言っていいほど、
そんなことを言う患者は、
居ませんでした。
近畿中央病院に来てから、
増えたように思います。
その間に、
医療ドラマが、
乱発されたことに、
起因していると思います。
繰り返し言っているように、
近畿中央病院においては、
優秀な医師が多いと思います。
しかし、
「名医」
かと言われれば、
そこまでではありません。
全国的に、
名前が売れている医師が、
居るわけではありませんから。
でも、
そんなことは、
必要ないでしょう。
大事なのは、
人間的に優れていて、
なおかつ、
腕が良いということです。
「名医」
である必要は、
ないのです。
患者の側も、
「名医」
に惑わされることなく、
自分に合った医師を見つけることが、
大事だと思います。
そういえば、
最近、
ドラマが放映されていました。
観る気にもならない、
題材です。
もちろん、
観ていません。
私は、
近畿中央病院に来て、
放射線科医師が、
医師の中で、
最も優秀な人がなる分野だということに、
気付かされました。
中には、
ごく少数、
そうでもない人も居ますが・・・。
例を挙げると、
今の、
近畿中央病院の、
放射線診断科の、
常勤医1名が、
それに該当します。
なかなか、
陽の当たらないところに、
スポットを当てるというのは、
良いことだと思います。
しかし、
放射線科医師は、
それこそ、
「縁の下の力持ち」
です。
縁の下の力持ちは、
そのまま、
そっとしておいて、
いいのではないでしょうか。
あえて、
スポットを当てる必要は、
ないと思います。
大半の医師たちは、
プライドを持って、
仕事をしているのですから。
放射線技師に、
スポットを当てるなど、
薬剤師にスポットを当てるより、
滑稽以外の何ものでもありません。
都合が悪くなったら、
なんでも看護師に、
責任を押し付けるような者が、
多いのです。
しかも、
撮影方法など、
特殊な能力を有していることは認めます。
しかし、
基本的には、
単なる、
「放射線を使ったカメラマン」
でしかないのです。
もちろん、
それぞれ、
プライドを持って仕事をしているでしょうし、
そのことは認めます。
ただ、
ドラマにする意味があるのかと言われれば、
「?」
です。
しかも、
彼らは、
撮影自体にしか興味がなく、
患者には、
何の興味も持っていません。
これが、
私が近畿中央病院の放射線科において、
放射線技師とともに、
仕事をした感想です。
薬剤師のドラマも、
放射線技師のドラマも、
その続編がつくられることは、
あるかもしれません。
しかし、
他局が、
真似をして新作をつくることは、
ないと思います。
なぜなら、
そんなに目新しいネタが、
ないからです。
ですから、
ドラマとして成立するのは、
医師と看護師だけで、
十分なのです。
以上のように書けば、
薬剤師も放射線技師も、
憤慨するかもしれません。
しかし、
私は、
認めるところは認めていますし、
不要だとは言っていません。
ドラマに、
惑わされることなく、
自分たちの仕事を、
きちんとしてくれたら、
それでいいと思います。
そういえば、
逆もありました。
近畿中央病院において、
患者が、
「ここには名医は居らんやろ?」
と、
聞いてきました。
私は、
「『名医』と言われている人は居ません。しかし、腕の良い医師は、多数居ますよ」
と答えました。
これは、
嘘偽りのない、
事実ですから。
その患者は、
納得のいかない様子でしたが、
そう思うのなら、
近畿中央病院に来なければいいのに、
そう言いながらも来るのです。
そんな、
不可解な患者が多いのも、
近畿中央病院の特徴です。
何回も言いますが、
「名医」
などという、
どうでもいい言葉に惑わされることなく、
自分に合った医師を見つけることが、
一番大切なのです。
決して、
テレビに、
惑わされることがないように。