この事件の、
裁判の続報です。
やはり、
検察側は、
控訴してきました。
第1審判決が、
11月9日に言い渡され、
その控訴期間は14日間。
つまり、
11月23日が、
控訴期間終了ということで、
ギリギリでの、
控訴ということになりました。
それだけ、
検察側は、
悩み、
議論を重ねた上で、
控訴したのだと思います。
しかし、
検察は、
被害者そして家族のために、
控訴したというわけではなさそうです。
それなら、
第1審判決が出たその日に、
「即日控訴」
して然るべき。
もちろん、
「被害者のため」
「被害者家族のため」
という気持ちが、
まったくないとは言いません。
しかし、
それを上回る気持ちが、
控訴へと動かしたのは、
確実です。
それこそ、
検察の、
「プライド」
です。
死刑を求刑したにもかかわらず、
無期懲役判決が言い渡された時点で、
検察のプライドはズタズタです。
それなら、
即日控訴してもいいようなものですが、
それをしなかったのは、
検察はバカでなはいということです。
検察は、
勝ち目のない勝負は、
しないのです。
検討に検討を重ねた結果、
勝算があると踏んで、
控訴したのです。
おそらく、
控訴理由の中で、
一番大きいのは、
控訴審は、
裁判員裁判ではない点にあります。
第一審が、
裁判員裁判でも、
第二審(控訴審)は、
裁判官のみの裁判になります。
裁判方法が変わることで、
判決が変わることを、
期待したのでしょう。
ただ、
今までの他の裁判をみていると、
一般人の参加した裁判員裁判の判決は、
支持される傾向が強いように思います。
「裁判員裁判=民意の反映」
と考えているのでしょう。
また、
第二審において、
刑が軽減されることは、
時々みられます。
これは、
裁判員裁判での判決が、
妥当なものより、
重いとみられたのでしょう。
つまり、
多少の可能性は残っているとしても、
第一審より、
第二審で重い量刑が言い渡されることは、
かなり少ないと言えます。
それなのに、
検察が控訴したのは、
おそらくこういうことです。
無期懲役より、
減刑されることは、
まずあり得ないことです。
死刑判決が出るであろうと言われていた案件ですから、
有期刑に減刑されることは、
ほぼないのです。
減刑されなければ、
検察のプライドが、
これ以上傷つけられることはありません。
もし、
判決が覆り、
死刑判決が出たら、
検察の面目は保てるし、
被害者と家族の気持ちも、
尊重することができます。
私は、
繰り返しになりますが、
死刑反対論者ではありません。
かといって、
積極的に死刑を推している訳ではありません。
ただ、
死刑制度が、
凶悪犯罪の抑止力になっているので、
制度自体は、
必要だと思っているのです。
その上で、
重大犯罪を犯す人は、
それなりの覚悟があって、
やるのだと思っています。
ですから、
酌むべき事情があったり、
この件のように、
無期懲役判決が出たのであれば、
出来る限り、
命を尊重する方向で、
罪と向き合わせる方が、
大切だと思います。
よく、
「本人は20人ぐらいやったと言っている。実際は40人以上らしい。だから、死刑にならないのはおかしい」
と言う人がいます。
実際、
前回この件について話した時の、
YouTubeの私のコメントに、
難癖をつけた人も、
そのようなことを言っていました。
しかし、
立件されたのは3人分だけなのですから、
20人分、
もしくは40人分を、
裁くことはできないのです。
それを、
量刑に含むことは、
できないのです。
その人は、
「3人殺しているから死刑じゃないのか」
とも言っていました。
しかし、
3人殺害したとしても、
無期懲役になった例はあります。
最近ですと、
この事件の場合は、
検察の求刑も無期懲役なので、
無期懲役は、
妥当なものです。
これは、
統合失調症による影響を、
検察側も認めての結果です。
というよりも、
もし死刑を求刑して、
無期懲役になったり、
ヘタしたら、
無罪判決が出たとしたら、
検察の面目は丸つぶれです。
無期懲役求刑は、
それを避けるためだと思います。
大口病院の件の被告も、
何らかの精神疾患を患っていたことは、
明らかです。
そうでなければ、
あんなことを、
正常な精神状態で、
できるわけがないのです。
裁判員ならびに、
地裁の裁判官は、
精神疾患の影響を考慮して、
無期懲役としたのですから、
私としては、
その判決を、
尊重してほしいと、
思っています。
もし、
第二審において、
判決が覆り、
死刑判決が出たとしたら、
今度は弁護側が、
上告するでしょう。
遺族感情は、
痛いほどよくわかりますが、
被告に反省してほしいのなら、
無期懲役のほうが、
いいと思います。
死刑は、
刑が執行されたら、
それで終わります。
それ以降は、
もう何もないのです。
しかし、
無期懲役であれば、
一生罪と向き合わなければなりません。
どちらが、
被告人にとって辛いかといえば、
断然後者です。
第二審は、
裁判官のみで、
審理が行われるということで、
審理期間が限られた裁判員裁判よりも、
より細かい審理が行われます。
審理を尽くして、
個人的には、
無期懲役の第一審判決が、
支持されることを望みます。
そうなれば、
第一審で守られた命を、
救うことができます。
もし、
第二審で、
一審判決を支持して、
もしくは、
破棄した上で改めて、
無期懲役判決が出たら、
検察はどうするでしょうか。
上告するでしょうか。
それとも、
判決を受け入れるでしょうか。
いずれにしても、
引き続き、
この裁判の行く末を、
見守っていきます。
そういえば、
事件の舞台となった
旧・大口病院(横浜はじめ病院)が、
コロナ専門病院になって、
営業を再開するそうです。
地域に貢献することで、
信頼を回復してもらいたいものです。