私は、
「刑事手続き」
に、
興味があります。
※資料:刑事手続き
<5461726F31322D8BB38E7497708E518D6C8E9197BF825181798C598E968EE8> (moj.go.jp)
それは、
今までのブログを読んでいただいたら、
わかると思います。
資金さえあれば、
今からでも弁護士を目指したいぐらいです。
しかし、
その肝心な資金がないので、
その道に進むことはできません。
ちなみに、
司法試験に合格するだけの、
能力もありませんが・・・。
数日前、
大阪狭山市で、
89歳の男性が、
車の操作を誤って暴走し、
自分の妻を含む3名を撥ねて、
1名を死なせてしまう事故が、
発生しました。
この時、
この男性は逮捕されましたが、
ネット上では、
池袋の件と比較されました。
「こっちは逮捕されてむこうはされなかった。やはり、『上級国民』だからか」
確かに、
今回の件は89歳、
池袋の件は90歳で、
条件は同じです。
やはり、
「上級国民だから逮捕されないのか」
と言われても、
しかたがないと思います。
しかし、
勾留請求は認められず、
容疑者は釈放となりました。
事件が発生して、
容疑者が逮捕されたら、
基本的に、
48時間以内に、
検察庁に送致されます。
いわゆる、
「送検」
です。
これは、
捜査を行うにあたって、
身柄を拘束する、
「勾留請求」
を行うためのものです。
勾留とは | 刑事事件に慌てないための基礎知識 | 逮捕・勾留など刑事事件の弁護士はアディーレ法律事務所 (adire-bengo.jp)
よく、
有名人や重大事件を起こした容疑者が、
この勾留請求を行うため、
送検される時に、
報道陣ややじ馬が殺到しているシーンが、
ニュースやワイドショーで放送されます。
そして、
「○○容疑者が、今送検されます。これえで、事件の解明が始まります」
的なナレーションがなされます。
これは、
ある意味間違ってはいないのですが、
ある意味間違っています。
先に述べたように、
逮捕後48時間以内に行われる送検は、
勾留請求をするためのものであって、
事件の解明をするものではないのです。
事件の解明は、
勾留請求が認められてから、
始まるのです。
逮捕後48時間以内の送検では、
まず検察官の元に送られ、
事件の認否を尋ねられます。
それにより、
書類が作成され、
検察官は、
裁判所に対して、
勾留請求を行います。
これが認められれば、
容疑者は、
10日間拘束されます。
その間に、
取り調べが行われ、
10日後に、
起訴するか否か、
もしくは勾留延長の判断が、
検察官によって行われます。
大概、
勾留延長により、
もう10日間、
勾留されることになります。
もちろんこれも、
裁判所に請求することになります。
しかし、
今回の場合は、
最初の勾留請求が、
棄却されました。
検察側は、
準抗告(不服申し立て)したようですが、
これも棄却されました。
この事故では、
1名が亡くなり、
容疑者の妻を含む、
2名が重傷を負うという、
重大な結果を招きました。
しかし、
事故が故意ではないこと、
証拠隠滅・逃亡の恐れがないこと、
そしてなにより、
高齢であることが考慮されて、
勾留は認められなかったのです。
しかし、
池袋の件が影響しているのは、
確実でしょう。
これで、
勾留請求が認められたら、
さらに世論は、
警察・検察の対応、
ならびに裁判所の判断を、
叩く結果になっていたと思います。
今回の件では、
容疑者は、
操作ミスを認めています。
しかし、
池袋の件では、
最初は、
「車の故障」
を主張して、
自己の責任を認めませんでした。
ミスを認めた者を勾留して、
認めない者を逮捕すらしないのでは、
誰も納得しないでしょう。
今回の容疑者は、
勾留請求棄却により、
釈放されました。
今後は、
在宅での捜査となります。
警察の要請に応じ、
警察署に出頭して、
取り調べが行われます。
しかし、
普段車で移動していた容疑者が、
車で移動できない状況下で、
警察署に通うのは、
大変ではないかと思います。
勾留されるのは、
もっと大変でしょうが・・・。
誰かが、
送迎をしてくれるのでしょうか。
警察としても、
取り調べができなければ困るので、
警察が送り迎えをするとか、
警察から自宅に出向くとか、
するのでしょうか。
いずれにしても、
どちらも、
そして誰もが、
大変だと思います。
事故の起きた大阪狭山市は、
大阪の中も郊外で、
交通の便は、
あまりよくありません。
ですから、
89歳でも、
いや89歳だからこそ、
車で移動するしかなかったのでしょう。
今回の事故は、
本人の問題よりも、
社会的な問題のほうが、
大きいと思います。
バスが不便で、
タクシーが高額となれば、
車を使うしかないのです。
これが、
地方の過疎地なら、
なおさらのことです。
私は、
乗り物にも詳しく、
特にバスに関しての造詣が深いのですが、
地方の過疎地におけるバス路線の廃止は、
そこに住む高齢者の移動に、
大きな影響が出ています。
各自治体も、
バス会社が撤退した路線に、
コミュニティバスを走らせたり、
タクシー会社が、
「乗り合いタクシー」
を運行したりして、
その対応にあたっていますが、
全然追いついていないように思います。
池袋の事故の場合は、
都市部で起き、
しかも事故を起こした人は、
おそらく裕福であったはずです。
それなら、
公共交通機関を使った移動は、
容易だったはずです。
しかし、
今回の場合は、
過疎地ではないにしても、
都市部ほど、
公共交通機関は、
発達していないと思います。
こういう事故が起こると、
「免許証を返納しろ」
という声が上がります。
しかし、
中には、
免許証を返納してしまうと、
移動が困難になり、
生活が立ち行かなくなる場合も、
少なくありません。
免許証の返納を促したければ、
生活に困らないような、
移動手段を整備・確保することが、
先だと思います。
批判する人も、
批判する前に、
先に行動に移してほしいものです。