看護部本日モ反省ノ色ナシ

看護師を中心に医療界の変なエピソードを話していきます

私は看護師をしておりますが まあおよそ一般社会では通用しないことがまかり通る それが看護師の世界です そんな看護師のエピソードとともに 医療界(病院)の変なことも話していきたいと思います

時事ネタ・大口病院連続点滴中毒死事件/1審判決

以前に話した、

この件の第1審判決が、

昨日言い渡されました。

時事ネタ・大口病院連続点滴中毒死事件/被告Kの裁判 - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

時事ネタ・大口病院連続点滴中毒死事件/被告Kの裁判・求刑 - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

 

前回、

私が予想した中にもあったように、

 

無期懲役

 

が言い渡されました。

 

求刑公判の時に、

 

「主文は後回しにする」

 

と予告されていました。

 

こういう時は、

大方判決が、

 

「死刑」

 

の時、

まれに、

 

「無罪」

 

の時の、

どちらかです。

 

求刑時点では、

判決は決まっていないので、

結果そのようになりましたが、

無期懲役判決の言い渡しで、

主文が後回しになったのは、

異例中の異例です。

 

それぐらい、

今回の無期懲役判決は、

過去の判例から考えても、

これまた異例中の異例です。

 

詳しくは、

検索していただけたらいいですが、

裁判官の判決理由を読むと、

本人の責任能力は、

ほぼ完全に認めつつも、

精神疾患の影響や、

病院におけるイジメの問題も考慮された上での、

無期懲役判決だったと思われます。

 

これも、

ある意味画期的だったと思います。

 

日本では、

3人亡くなれば、

ほぼ死刑です。

 

しかし、

3人中2人は、

終末期の患者で、

余命いくばくも無かったと、

判決理由で述べられています。

 

1名は、

治療が終われば、

元気に退院することができたとされています。

 

いくら本人が、

取り調べの段階で、

 

「20人ぐらいやった」

 

と供述したと言っても、

裁判では、

そのことには、

答えなくなりました。

 

立件されていない以上は、

検察も、

あまり突っ込めません。

 

こいうい言い方をしたら、

亡くなった方に申し訳ありませんが、

裁判官にすれば、

 

「3人中2人は、被告が何もしなくとも、早晩亡くなっていた。1人の殺人については、殺人として認定する」

 

ということなのかもしれません。

 

初犯で、

1人の殺人なら、

無期懲役はやや重いぐらいです。

 

昨今、

重犯罪に対する厳罰化が、

叫ばれています。

 

そう考えたら、

今回の判決は、

妥当と言えます。

 

私は、

前にも話しましたが、

死刑反対論者ではありません。

 

識者が言うには、

この裁判の裁判官の中に、

死刑回避論者が居るのではとのこと。

 

それなら、

今回の判決は、

そうなるべくしてなったのかもしれません。

 

この判決が出て、

遺族はやりきれない思いを、

吐露しました。

 

その気持ちは、

痛いほどわかります。

 

しかし、

前にも話したように、

死刑は、

死刑が執行されたら、

それで終わりです。

 

刑法では、

死刑判決が確定したら、

半年以内に、

刑を執行することになっています。

 

しかし実際には、

平均で7~8年、

中には50年以上も、

未執行のまま、

拘置所に収容されています。

 

50年ならまだしも、

7~8年で、

反省を深めることができますか?

 

反省をしてほしいのなら、

一生かけてするべく、

無期懲役のほうが、

よいと思います。

 

本人は、

 

「死んで償う」

 

と、

死刑を望んでいましたが、

自分の望みと違う、

無期懲役になったことは、

本人にとっては、

死刑よりも苦痛だと思います。

 

ですから、

被告に一生かけて反省をしてもらい、

一生苦しい思いをしてほしければ、

今回の判決は、

妥当なのです。

 

被害者家族は、

検察に対して、

控訴することを望んでいます。

 

しかし、

検察側は、

即日控訴はしませんでした。

 

これは、

悩んでいる証拠だと思います。

 

死刑を求刑したにもかかわらず、

無期懲役判決がでたということで、

検察のプライドは、

ズタズタになったはずです。

 

それなら、

即日控訴して然るべきですが、

やりませんでした。

 

もしかして、

無期懲役判決を、

覆す自信がないのかもしれません。

 

被害者家族の感情がありますが、

検察にとっては、

それはあまり関係ありません。

 

プライド>>>>>>>>>>被害者・家族の感情

 

なのです。

 

控訴して、

もし判決が覆らなければ、

検察のプライドは、

さらにズタズタにされてしまいます。

 

検察としては、

それは絶対に、

避けなければならないことです。

 

即日控訴しなかったとしても、

控訴期間は、

14日間あります。

 

これから、

様々な検討をして、

今後控訴を行うことも、

十分考えられます。

 

逆に、

弁護側(被告側)は、

控訴しないでしょう。

 

ほぼ死刑が出る事例を、

無期懲役減刑されたのですから。

 

上々の結果です。

 

これも、

前に話しましたが、

もし無期懲役で、

刑が確定したとしたら、

被告には、

過酷な未来が待っています。

 

刑法上は、

収監後10年が経過したら、

仮釈放の申請ができます。

 

昔は、

実際に、

そのような運用がなされ、

10~15年で、

出所することができました。

 

しかし、

有期刑の上限が、

30年に引き上げられて以降、

仮釈放の申請は、

30年を経過しないと、

できなくなりました。

 

一度却下されると、

次に申請されるのは、

その10年後となります。

 

しかも、

人の命を奪った場合は、

仮釈放が、

ほぼ通らないそうです。

 

仮釈放が通るのは、

全体の30%ぐらいと言われていて、

無期懲役が、

事実上の、

 

終身刑

 

となっているのです。

 

そう考えると、

この被告も、

 

「ほぼ終身刑

 

となるのではないかと思います。

 

そのほうが、

一生をかけて、

罪と向き合うことができると思います。

 

そのほうが、

刑死するよりも、

よほどつらいと思います。

 

この問題は、

イチ看護師が起こした事件、

それで終わりではありません。

 

この事件が起きた病院の体制や、

内部で起こっていた看護師間の問題、

もはやこれは、

医療界全体の問題です。

 

私だって、

この被告のように、

なり得たかもしれません。

 

今まで、

このブログに書いたエピソードを読んでもらえたら、

わかっていただけると思います。

 

私以外にも、

ストレスを抱えた看護師は、

大勢います。

 

今回のことは、

ほんの氷山の一角。

 

看護師の世界の、

根本的な陰湿な部分や、

看護師を、

 

「医療界の底辺カースト

 

とみている、

他の免許職の意識を改善しない限り、

また同じようなことが起こります。

 

それだけは、

絶対に避けなければなりません。

 

今回のことを教訓として、

看護師の労働環境が、

飛躍的に改善されることを望みます。

 

そして、

この裁判の量刑が確定するまで、

行く末を見守ります。