看護部本日モ反省ノ色ナシ

看護師を中心に医療界の変なエピソードを話していきます

私は看護師をしておりますが まあおよそ一般社会では通用しないことがまかり通る それが看護師の世界です そんな看護師のエピソードとともに 医療界(病院)の変なことも話していきたいと思います

何のための心電図モニター

昨日、

こういうニュースがありました。

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このニュースを見て、

思い出したことがあるので、

話します。

 

私は、

2年目から救命救急センターを経験し、

心電図モニターの重要性を、

徹底的に叩き込まれました。

 

なので、

以降勤務したところでは、

誰よりも、

心電図モニターに注意して、

仕事をしていました。

 

最初に働いた病院から、

転勤した系列病院では、

内科の混合病棟に配属されました。

 

主に、

内分泌・神経内科・緩和ケアでしたが、

思いのほか、

心電図の装着率が高かったのを、

覚えています。

 

そこで驚いたのが、

モニターのアラームが鳴っても、

ほぼみんなアラームを消して、

それで終わりなのです。

 

なぜ鳴っているのか、

検証することもなく、

患者のところに行くこともなく。

 

びっくりしました。

 

ここで

医療者ではない人に、

解説しておきます。

 

心電図モニターは、

主に以下の2種類があります。

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上のものは、

いわゆる、

 

「ベッドサイドモニター」

 

で、

患者のベッドサイドに設置し、

その場でも数値や波形を確認することができます。

 

下のものは、

いわゆる、

 

「ポータブルモニター」

 

で、

数値や波形は、

簡易的にしか表示されません。

 

その名の通り、

小型で持ち運びが可能なため、

移動が可能で、

比較的病状の軽い患者に、

装着されます。

 

そして、

 

「ベッドサイドモニター」「ポータブルモニター」

 

いずれも、

その数値・波形は、

詰所に設置されている、

 

「セントラルモニター」

 

に送られます。

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確かに、

私がその前に居たのは、

救命救急センターで、

一概に比較するのは、

違うのかもしれません。

 

しかし、

心電図モニターを装着しているには、

それなりの理由があるはずです。

 

ただ、

付けているだけではありません。

 

ニュースの件も、

心臓手術後だったということで、

心電図の監視は、

重要なはずです。

 

ある日、

私は、

TKSKさんとTNKさんという、

准看護師の2人とともに、

夜勤をしていました。

 

たぶん、

準夜だったと思います。

 

TKSKさんは、

かなりのベテランで、

仕事のできる人でした。

 

TNKさんは、

この時登場した人です。

汚い「報復」のしかた - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

 

この2人は、

日々のリーダーを行っていなかったため、

20歳ほど、

2人より年下ながら、

正看護師の私が、

その勤務のリーダーを務めていました。

 

私は、

主に神経内科の患者を、

TKSKさんTNKさんの2人が、

内分泌内科・緩和ケアの患者を、

担当していました。

 

勤務に入ると、

とある患者の心電図モニターアラームが、

頻回に鳴りました。

 

どんな患者かは、

もう20年近く前なので忘れましたが、

男性で、

ペースメーカーを装着していました。

 

ペースメーカーを装着していると、

心電図モニターの設定を、

 

「ペースメーカー使用」

 

にすることで、

波形に黄色い線が示されます。

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黄色い線は、

 

「センシング」

 

つまり、

感知されていることを示しています。

 

私は、

心電図には詳しくないので、

説明は、

このあたりにと留めておきます。

 

当然、

この患者の波形にも、

この黄色い線が示されていたので、

ペースメーカーが入っていることは、

一目瞭然でわかりました。

 

この患者は、

TNKさんが担当していましたが、

TNKさんは、

アラームが鳴っても、

アラームを止めるだけで、

そのまますぐに、

セントラルモニターから離れてしまいました。

 

私が、

アラームに対処することも、

もちろんありましたが、

患者のところに行かなかったまでも、

勤務当初の波形と変化がないかは、

きちんと確認していました。

 

そして、

そんなことを何度も繰り返したあと、

その時が来ました。

 

TNKさんが、

またアラームを消して、

そのまま行ってしまったあと、

セントラルモニターを確認すると、

波形はフラットではなかったものの、

明らかに変化していました。

 

心電図に詳しくない私でも、

心臓が止まっていて、

ペースメーカによる波形のみになっていることは、

すぐにわかりました。

 

私は、

すぐにTNKさんにその旨を伝え、

共にその患者の病室に向かいました。

 

すると、

やはりすでに、

心臓は止まっていました。

 

この患者、

確か緩和ケアの患者ではなかったけど、

余命あとわずかと言われていました。

 

ですから、

あまり問題にはなりませんでしたが、

そうでなければ、

大問題に発展していたと思います。

 

セントラルモニターでは、

時間をさかのぼって、

波形を確認できるのですが、

それによると、

1時間弱ほど前から、

波形が変化していました。

 

実は、

YKSKさんも、

TNKさんと、

同じようなアラーム対応をしていたのです。

 

私は、

TKSKさんもTNKさんも、

ベテランだからと任せていましたが、

それではダメだということが、

この時のことでわかりました。

 

こんなこともありました。

 

同じ部署での、

ある日の日勤。

 

とある患者が、

病室で処置(CVルートの留置)を行っていました。

 

CVルートの留置も、

危険の多い処置です。

 

救命救急センターの医師は、

みんな上手だったので、

私の在籍中に、

CVルート留置による事故は、

ありませんでした。

 

しかし、

一般の医師の中には、

CV留置を苦手としている人も居ます。

 

その時も、

手先の不器用なNSBU医師が、

処置を行っていました。

 

最初から付いていたか、

処置中だけ付けたかは忘れましたが、

心電図モニターが装着されていました。

 

処置についていたのが、

確か私がプリセプターをしていた看護師だったので、

(③か④かは忘れました)

時々様子を見に行っていました。

私がプリセプターをした新人看護師②③④ - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

 

すると、

セントラルモニターのアラームが鳴りました。

 

誰かが対応しましたが、

TKSKさんTNKさんと同様に、

アラームを消して、

そのまま立ち去りました。

 

教え子が、

処置についていたため、

心配だった私は、

セントラルモニターを確認しました。

 

すると、

 

「0」

 

を示していました。

 

心拍「0」の時の対処方法は、

まず患者のところに行くことです。

 

私は、

急いで患者のところに行きました。

 

そして、

処置している医師と、

処置についている教え子に、

 

「心臓が止まっている」

 

と告げました。

 

本来なら、

まず心電図のリード線が、

きちんと電極についているかを、

確認するのが先なのですが、

部屋に行って患者の様子を見ると、

止まっているのは明らかでした。

 

その患者は、

そのまま亡くなったはずですが、

この患者は、

神経内科の患者で、

予後が思わしくなかったので、

大きな問題にはなりませんでした。

 

この処置に関して、

教え子は自立していたので、

任せてしまっていましたが、

少し悔やまれるところです。

 

いずれにしても、

前述のように、

心電図モニターを装着するには、

それなりの理由があるのです。

 

ただ、

漫然と付けているだけではないのです。

 

アラームが鳴るということは、

異常が生じたことを、

知らせてくれているのですから、

それにきちんと対処しないと、

意味がありません。

 

救命救急センターなど、

重症患者を扱うところよりも、

一般病棟のほうが、

患者の急変に気付きにくいものです。

 

早期発見・早期対応のためにも、

心電図モニターを、

適正に運用するようにしましょう。