看護部本日モ反省ノ色ナシ

看護師を中心に医療界の変なエピソードを話していきます

私は看護師をしておりますが まあおよそ一般社会では通用しないことがまかり通る それが看護師の世界です そんな看護師のエピソードとともに 医療界(病院)の変なことも話していきたいと思います

私の看護師の師匠・FKSMさん

今回は、

私が師と仰ぐ、

看護師について話します。

 

その人は、

このブログで過去3回登場した、

FKSMさんという人です。

言わなければ注意され、言ったら言ったで叩かれる看護師の世界 - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

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FKSMさんは、

私が2年目に、

救命救急センターに異動になって、

一般病棟に配属された時のプリセプターです。

プリセプターとプリセプティ: Preceptor and Preceptee, Preceptorship (osaka-u.ac.jp)

 

私より1つ年上で、

救命救急センター生え抜きの、

4年目の看護師でした。

 

本当なら、

新人指導を行う年ですが、

その年は、

救命救急センターに新人の配属がなく、

代わりに、

私にの指導を行うことになったのです。

 

本来なら、

2年目なので、

プリセプターが付くことはないのですが、

1年目が成人精神神経科だったので、

まったく違う部署ということで、

付けてもらえることになりました。

 

FKSMさんの第一印象は、

美人でキツそうな感じでした。

 

しかし、

話してみると、

アニメ声で、

見た目とのギャップに驚きました。

 

FKSMさんから最初に言われたのは、

 

「私は、ここ(救命救急センター)で、理不尽なことを先輩からいっぱいされてきたけど、そんな風潮は変えていきたいと思う。だから私は、(私の名前)君には、自分がされた嫌なことは絶対にしない。(私の名前)君も、新人を教える時が来たら、それを守ってほしい」

 

ということでした。

 

素晴らしい考えです。

 

この時点で、

 

「この人は信用できそうだ」

 

と思いました。

 

そう思ったのには、

理由があります。

 

成人精神神経科の時のプリセプター2人(堀・加藤)が、

えこひいきバリバリの、

指導者失格の人間だったからです。

 

特に堀など、

男のくせに、

裏で人を陥れるようなことばかり、

してきました。

 

信用など、

出来るはずがありませんでした。

 

しかも、

1年目最終の面接の時に、

 

「先輩の言うことは聞かなああかん」

 

と、

看護師長の前で言い放ったので、

 

「理不尽なことは聞けませんから」

 

と返しました。

 

堀は、

何も返せませんでした。

 

その様子を見ていた病棟師長は、

笑っていました。

 

FKSMさんの仕事ぶりは、

 

「私の理想の看護師」

 

そのものでした。

 

まず、

患者にすごく優しかったです。

 

前に話した通り、

救命救急センターの看護師は、

患者から、

 

「心がこもっていない」

 

と思われていました。

患者はよく見ています - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

 

しかし、

FKSMさんは、

どんな患者でも、

老若男女・意識の有る無しにかかわらず、

みんな分け隔てなく、

明るく接していました。

 

救命救急センター一般病棟にも、

状態が安定しているということで、

意識のない人工呼吸器を付けている患者が居ました。

 

FKSMさんは、

 

「意識のない患者でも、何か処置をする時には、必ず声をかけなさい」

 

と私に教えました。

 

その教えを、

私はずっと守っています。

 

私は、

日勤の朝に、

その日担当の意識のない患者のところに行ったら、

 

「おはようございます」

「今日は天気ですよ」

 

等々、

声をかけることにしています。

 

決して、

返事は返ってきません。

 

しかし、

一方的ではありますけど、

話しかけ続けます。

 

逆に言えば、

会話可能な患者に、

終始無言で接することはないでしょう。

 

それと同じです。

 

以前、

兵庫医科大学病院に、

アルバイトに行ったことがあります。

 

そこの、

ICUか救命救急センターのICUで、

意識のない患者に声をかけていたら、

 

「その人意識ないで」

 

と言われたことがありました。

 

確かに、

そこの看護師たちの大半は、

患者に声をかけることなく、

無言で処置を行っています。

 

「ここはダメだな」

 

と思って、

すぐにアルバイトを辞めました。

 

あと、

FKSMさんのスゴイところは、

人を使うのが上手いところです。

 

片山のように、

自分は動かないのに、

人に命令するのではありません。

 

自分も動きつつ、

それでも手が足りない時に、

相手が気分を害さないように、

依頼するのが上手なのです。

 

救命救急センター

50余名も看護師が居ると、

扱いにくい人も居ます。

 

そんな、

自発的に動かない人、

他の人が依頼しても動かない人も、

FKSMさんが、

 

「〇〇さんじゃなきゃダメなんです」

 

と言うと、

ほぼみんな、

動いてくれます。

 

かといって、

八方美人なわけではありません。

 

かつ、

FKSMさんは、

看護師のみならず、

医師からも人気がありました。

 

「愛されキャラ」

 

だったのです。

 

厳しさも、

持ち合わせていました。

 

私も、

何度か怒られたこともありました。

 

でも、

それは、

片山・藤崎・井上のような、

 

「圧」

 

ではなく、

そこには、

 

「愛」

 

がありました。

 

私に、

救命救急センターの看護師として、

成長してほしい、

1人前になってほしいという、

気持ちが伝わってきました。

 

だからこそ、

頑張ってこれたのです。

 

あと、

FKSMさんがモットーとしていたのは、

 

「仕事は楽しくやろう」

 

ということでした。

 

これは、

 

「手を抜く」

 

ということではありません。

 

救命救急センターという、

特殊な環境下、

緊張感は、

想像以上のものがあります。

 

しかし、

人間の緊張感は、

そう長く持続できません。

 

しかも、

緊張状態にあるほうが、

人はミスを犯すものです。

 

今日の深夜、

前に紹介した、

ケーブルテレビの、

 

ナショナルジオグラフィックナショジオ

メーデー~航空機事故の真実と真相~」

 

を観ました。

インシデントがなくならない理由 - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

 

その中で、

機長の圧によって、

副操縦士をはじめとしたコックピットクルー(交代パイロット・航空機関士・通信士)が、

委縮してしまい、

助言することができずに、

墜落に至った話がありました。

 

つまり、

緊張状態にあるほうが、

ミスを犯しやすいのです。

 

なるべくリラックスした状態で、

何なら楽しく仕事をしたほうが、

ミスは少なくなるということです。

 

看護師に限らず、

仕事は楽しくやるべきです。

 

例えば、

スタッフの仲が険悪な飲食店で、

美味しい食べ物が、

出てくると思いますか?

 

そういうところは、

味に出てくるものです。

 

それこそ、

 

「患者はよく見ている」

 

ように、

客は店員のことを、

よく見ています。

 

スタッフの仲が険悪なら、

自分では隠しているつもりでも、

知らず知らずの間に、

態度や表情・口調に、

表れるものです。

 

そんな、

内部が殺伐としている店には、

行きたくないと思うはずです。

 

スタッフの仲が良好で、

良い仕事をしている店のほうが、

好まれるはずです。

 

看護師の世界も同じです。

 

おそらく、

2014年の、

片山・藤崎が支配しようとしていた時は、

きっと良い看護は、

提供できていなかったと思います。

「私たちに付いてこれる者だけ付いて来たらいい」は?/とんでもない勘違い野郎 片山&藤崎 - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

 

かといって、

 

「なあなあ」

 

で、

仕事をしろと言っているのではありません。

 

仲が良い中でも、

お互いの間違いを、

キャリア関係なく指摘し合えて、

それを認めることが大切です。

 

つまり、

お互いを尊重し合えて、

かつお互いのミスを指摘し合えて、

かつ自分のミスを素直に認めて改めることが、

大切ということです。

 

私が重症病棟に行ったあと、

遅れてFKSMさんも、

重症病棟所属となりました。

 

彼女は、

新人の時に重症病棟からスタートして、

救急外来に行った後、

私の指導をするに当たって、

一般病棟所属となったようです。

 

この経歴を考えれば、

患者をモノとしか見ないようになっても、

しかたがないのかもしれませんが、

そうならなかったのは、

彼女の本来の人柄によるものだと思います。

 

彼女とは、

指導者-教え子の関係を超えて、

よく食事に行ったり、

遊びに行ったりしました。

 

ボーリングや、

スノーボードに行ったこともあります。

 

正直に言えば、

ほのかな恋心を抱いたものですが、

所詮それは叶わぬものです。

 

彼女の、

結婚式にも参加しました。

 

結婚後、

彼女の家を訪れたこともありますし、

赤ちゃんを抱っこしたこともあります。

 

好きになった人が、

幸せになるのなら、

それは例え、

自の手によらなくても、

私は十分だと思っています。

 

同じ理由で、

妹のようにかわいく思っている、

MSさんや2016年の新人の1人も、

幸せに暮らしていたら、

私にはそれで十分なのです。

理不尽に辞めていった子たちへのレクイエム/今でも忘れられない新人看護師MSさん - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

新人看護師・若い看護師の退職状況/わかる範囲内で・近畿中央病院 - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)

 

ただ、

最後に1度だけでも、

会いたいと思っています。

 

こんな、

私の中では、

完璧な看護師のFKSMさんですが、

食事に行った時に、

よく本音を吐露していました。

 

「私だって、救命救急センターには嫌いな人だって居る。でも、仕事をしている以上は、無視はできないし、それなら、なるべく気持ちよく仕事をする努力をするべきではないか」

 

その通りです。

 

これを、

みんなが実践したら、

職場の環境が良くなるのではないでしょうか。

 

一般社会では当たり前のこのことも、

こと病院、

その中でも看護師の間では、

こういう大人の考えは、

まったくといっていいほど、

機能していません。

 

人の足を引っ張ることに終始し、

そんな輩が、

病棟を支配しようとしている。

 

「幼稚」

 

というほかありません。

 

また、

FKSMさんは、

学生時代までは、

救命救急センターで働いている時のような、

明るいキャラクターではなかったようです。

 

仕事をしていくうちに、

そうなったそうです。

 

いわば、

救命救急センターのムードメーカーで、

宴会の際には、

ハゲヅラを被って踊ったりしていました。

 

しかし、

それはちょっと無理をしていたようで、

食事に行った時に、

そのことを話してくれました。

 

彼女は、

産休を経て、

別の病棟に配属となり、

私は転勤になったので、

若干疎遠になりました。

 

それでも、

何度か2人で食事に行って、

私の仕事や恋の悩みを、

聞いてもらったものです。

 

もう、

17年以上会っていませんが、

ずっと一緒に、

仕事をしたかったものです。

 

私は、

ここに書ききれなかったことも含めて、

FKSMさんの教えを守って、

今まで仕事をしてきました。

 

今後、

看護師はやりませんが、

他の職種にも、

応用できることだと思います。

 

FKSMさんにも、

最後に1度でいいから、

会ってみたいです。