看護師には、
ものを大事にする・・・といえば聞こえはいいのですが。
悪くいえば、
「いつまで使っとるねん」と思いたくなるようなことがあります。
ある日私は、
新人の付き添いで、
気管支鏡検査(ブロンコ)の送迎に行きました。
私は、
最初検査部門に居たので、
ブロンコのことも、
勝手知ったることでした。
私が居た頃は、
ブロンコのある日は、
いつも1日4件あって、
活気がありました。
しかし、
この頃になると、
日によっては0件のこともあり、
淋しいものでした。
ですから、
少ない機会を経歴してもらおうと、
新人優先で、
ブロンコの患者を受け持たせていました。
私は、
検査につく側と、
送迎をする側、
両方を知っているので、
この役割は適任でした。
新人から希望があれば、
患者を送ってきたあと、
そのまま検査が終わるまで居て、
新人に検査の解説をしたこともありました。
その時は、
通常通りで、
患者を送って、
申し送りをしたあと、
一旦病棟に戻りました。
しばらくして、
検査終了の連絡があり、
新人と共に再び検査室へと向かいました。
そして、
検査部門の看護師から申し送りを受け、
看護師が持っていた、
検査中の様子が書かれた用紙を貰って帰ろうとすると、
「これは渡せません」と、
用紙を取り上げられました。
確かに、
この用紙は、
検査部門の看護師が、
メモとして使い、
あとでパソコン入力するためのものだったのです。
自分も昔使っていたのに、
ブロンコの送迎をするのが久々だったので、
すっかり忘れていました。
しかし、
ここで怯むわけにはいきません。
後輩、
しかも新人の手前、
格好の悪いところは見せられません。
私は、
すかさず反撃に出ました。
「この用紙懐かしいな。これ、僕がつくったんですよ。まだ使ってるんやな。もう、8~9年前のもんやのに」
これを聞いた検査部門の看護師は、
きょとんとしていました。
しかし、
これは事実なのです。
私が、
検査部門に在籍していた当初、
検査の看護記録は、
すべて「共通」という同じテンプレートに入力していました。
しかし、
電子カルテの配置上や、
検査が数件続く都合上、
リアルタイムでの入力ができていませんでした。
また、
検査部門で行う検査は多岐に渡るのに、
同じテンプレートでは、
入力に手間がかかるなど、
改善が望まれました。
そこで、
事務方にかけあって、
検査毎にテンプレートをつくることになりました。
その前段階として、
テンプレートに模した用紙をつくることになったのですが、
ブロンコ用の用紙を担当したのが私でした。
用紙が出来、
それを実際使ってみて、
使い勝手を確認した上で、
改良したものをテンプレートにしたのですが、
私のつくったものは、
改良することなく、
そのままテンプレートの見本となりました。
この用紙をつくって8~9年、
その間の2015年に、
電子カルテのシステムを、
全面的に入れ換えたのですが、
それ以降も使い続けているということは、
私のつくったものが、
いかに素晴らしいものだったかと言えると思います。
誰も言ってくれないから、
自画自賛します。
しかし、
この自画自賛に、
誰も異論はないと思います。
次に、
病棟には、
「いつ作ってん」「誰が作ってん」というような、
注射器や針の空き箱で作った入れ物が存在します。
しかも、
テープを貼りまくっていたり、
決してキレイとはいえない代物です。
さらに、
壊れたらテープで補強までして使います。
それは、
まだマシなほう。
直さずに、
ずっと使い続けるほうが多いのです。
貧乏たらしいこと、
この上ないです。
私は、
夜勤の時に、
モノを整理して、
プラスチック製の入れ物を捻出します。
そして、
手製のものを、
すべて棄てて、
それに置き換えます。
そのほうが、
見栄えもよくなります。
点滴を作成する台の中央に、
点滴セットが置いてありました。
箱のまま開けるのはいいとして、
新しいものを開ける時に、
箱ごと交換すれば、
効率的だし清潔です。
しかし、
大半の人は、
箱は交換せずに、
中身だけ補充します。
箱が破れても、
使い続けます。
「それなら」と、
私は箱をやめて、
どこかから捻出したカゴに変えました。
すると、
いつの間にか、
箱に戻っていました。
しかも、
補充する毎に、
箱を交換するのかと思いきや、
それはやりません。
「人の努力無駄にしやがって、一体何やねん」
と思いました。
看護師のみなさん、
いくら完成度が高いからといって、
10年近く(今も使っていたら10年以上)、
同じものを使い続けるのは問題です。
医療は、
日々進歩しているのですから、
定期的に、
改良の是非について、
検証する必要があります。
検査部門の看護師に、
そう言いたいです。
また、
モノを大事にすることは大事ですが、
意味を履き違えないように。
この2点を、
切に願います。
【追加】
昨日投稿した、
「看護師は言葉を知らない」について、
追加があります。
看護師は言葉を知らない - 看護部本日モ反省ノ色ナシ (hatenablog.jp)
例えば、
「2日毎」という言葉があります。
みなさん、
これを何と読みますか?
正解は、
「ふつかごと」です。
仕事をしていると、
「ふつかまい」と言っている人が大半です。
「じゃあ、お前が訂正してやれや」という、
批判を頂きましたが、
いくらこちらが正しくても、
「白いモノでも黒になる」、
少数派が多数派に凌駕されるのが、
看護師の世界なのです。
私ひとりで言ったところで、
潰されるのは目に見えています。
一般社会の人にはわからないでしょうが、
看護師の世界とは、
そんなものなのです。
こんな頭脳で、
医師と張り合おうとしているのですから、
滑稽というほかありません。