私が、
最初に働いた病院では、
採用2年目に、
看護研究をすることになっています。
私は、
1年目に成人精神科に配属され、
2年目に希望が通り、
救命救急センターに異動になったにもかかわらず、
決まり通りに看護研究をすることになり、
苦労したのをおぼえています。
そもそも、
何が何でも2年目に看護研究をすることに意義があるのではなく、
1年間働いたことを踏まえて、
同じ部署で2年目に研究をすることが、
本来の目的だと思うのですが・・・。
要は、
状況に応じた柔軟性のある対応を、
看護部はできないということ。
前置きはこれぐらいにして、
核心部分へ。
同期みんなが、
2年目看護研究に取り組みました。
そして、
その集大成として、
発表会が行われました。
その中で、
「ん?」と思うものがあったので、
紹介します。
それは、
同期の男性看護師・TNYMが発表したものです。
TNYMは、
私より3歳年上で、
たしか准看護師として他の病院で働いた後、
正看護師を取得したタイミングで、
その病院にかわったのです。
彼は、
前職でも手術室勤務で、
その病院でも即戦力として、
手術室に勤務していました。
彼が、
2年目看護研究で取り組んだのは、
小児患者の手術説明を、
紙芝居を用いて行うというものでした。
発想はとても良いと思います。
手術前の事前訪問は、
手術室勤務の看護師にとって、
大切な仕事のひとつです。
特に、
相手が子供や高齢者の場合は、
説明に難渋します。
では何が「ん?」なのか。
それは、
この研究の根幹である紙芝居自体の存在が、
まったく見えてこないのです。
まず、
抄録が配られたのですが、
そこに書かれていた紙芝居は、
あまり詳しく書かれていなかったことが、
その理由のひとつ。
次に、
本当に紙芝居をつくったのなら、
現物を発表の場に持参するものだと思いますが、
一切登場しませんでした。
次に、
発表内容を聞くと、
すごく良い結果を得られたようになっていましたが、
それなら個人の研究に留まることなく、
手術室という部署を挙げて、
以後も使用すればいいと思います。
しかし、
そんな形跡は一切ありません。
さらに、
研究発表後には、
質疑応答があるのですが、
質問に対する受け答えがあいまいで、
私は自分の持った疑惑に、
確信を深めました。
そもそも、
このTNYMは、
紙芝居をつくるような人物ではないのです。
この疑問、
私だけが感じたものではありません。
私の友達も、
「あれホンマか?」と言っていました。
以上のことより、
紙芝居の存在は、
疑問を持たざるを得ません。
彼は、
もうその病院には居ません。
おそらく、
手術室から病棟に異動の辞令が出て、
病棟経験のない彼は、
辞めるしかなかったようです。
もう、
彼とは会えないと思いますが、
もし会うことがあったら、
この件について聞いてみたいと思います。
もう時効でしょうから、
彼も正直に話してくれるでしょう。
「紙芝居」ならぬ「猿芝居」